王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
ユリエスの声が弱まる。
そんな神のような能力じゃ、勝てるわけがないじゃないか。
マルタも黙ったまま俯いてしまっている。
レインは、地面に溜まった自分の血液に手を触れると、言葉を続けた。
「だが勝機はある」
レインは言う。
「本気で僕達を殺そうとしているのなら、死のイメージを具現化させればすぐに終わる。それをしないということは、奴は遊んでいるんだ」
「なるほど。神聖なるドラゴンは、我々人間を玩具にしか思っていないのか」
「だがそのおごりが身を滅ぼすことになる。幻龍は必ずどこかに身を潜めているはずだ。そこさえ突き止められれば」
続きは八方に現れたドラゴンによって遮られた。
ベリルはミスリルの刀を横に払い、ドラゴンの身体を真っ二つに断つ。
マルタが右手を前に翳すと、そこから衝撃波が発生しドラゴンを吹き飛ばした。