王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―

セシエルもクロスボウで応戦するが、先ほどと違い数が多すぎる。


無限に現れるドラゴンに対し、こちらは隻腕の重傷者を抱えた状態。


部が悪すぎる。早く幻龍を見つけださなければ、幻龍の言いように弄ばれて死ぬだけだ。


剣を捌きながら、意識を全方向に向けて気の流れを読み取る。


小さなドラゴンの気は嫌というほど読めるが、肝心な幻龍の気は読み取ることができない。


この霧も幻龍が作り出した幻術フィールド。


大気に漂う魔力が、ユキフラシの吹雪同様に妨害をしているのだ。


「クソッ。これでは幻龍の居場所が分からない」


「あ、居場所なら分かりますよ」


結界を張っていたエナが、あっけらかんと言い放った。


幻術フィールドは幻龍が作り出した空想そのもの。


幻術フィールドには幻龍の殺意が混じり、その殺意が小さなドラゴンを生み出していると言っても過言ではない。
< 141 / 209 >

この作品をシェア

pagetop