王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
感慨深げに深い赤色の瞳を盗み見るが、すぐに視線を逸らし国王へと目をやった。
「ようやく全ての戦士が揃った。これから諸君らにドラゴン討伐の任を正式に言い渡す」
国王の言葉に膝を折る者もいるが、約半数はそのまま仁王立ちをしている。
レインは形だけ国王に忠誠を誓う。その姿に国王は喉を鳴らした。
あの時の光景が脳裏に過ったようだ。
「ドラゴンの居場所は魔術師部隊がすでに特定している。諸君らにはそれぞれチームを組んでもらい、王都を脅かすドラゴン共を打ち滅ぼしてもらいたい」
王都を襲撃するドラゴンは複数体。
王府は集めた戦士達を分け、ドラゴンを各個撃破しようという作戦のようだ。
20以上の大所帯では身動きが取りづらいうえ、一体に戦力を集中しては討伐に時間がかかり王都への被害が増えてしまう。
少人数での各個撃破は、効率的な作戦であろう。
無能の割には良く考えたじゃないか。
密かに思う。どうやら王府も馬鹿ばかりではないようだ。