王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
Ω
突如上空から舞いおりた片翼の男。
男は灰色のマスターキーを取り出すと、その先をレイン達に向けた。
ベリルはすかさず剣を鞘から抜き取り構える。
「異空間(ディメンション)」
男が言葉を紡ぎながらカギを捻ると、一瞬にしてレインとユリエス以外はその場から全員消え去った。
異空間移動のマスターキー。
レインは口元の血を腕で乱暴に拭うと、男を睨んだ。
「おや? 氷眼の民の坊や意外は転送されてるはずですが……」
男は小首を傾げるが、ユリエスが手にしている漆黒のマスターキーを一瞥すると納得したように軽く頷いた。
「マスターキー同士の相殺。ということは、あの大きなウサギは召喚獣でしたか」
「なにを勝手に納得している。貴様は何者だ。なぜマスターキーを持っている!」
声を荒げる。