王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
傷口は瞬時に凍りつき、獣の瞳から色が消える。
レインはオメガに向き直ると、氷筍は細かな粒子になり弾けた。
「合成獣(キメラ)とは今更だな。ユキフラシと幻龍も貴様の仕業か」
「なんだって!?」
ユリエスはオメガを見つめる。
青年は眼鏡のフレームを直すと、口の両端を不気味に吊り上げた。
「よく気付きましたね。さすがこの国を影から操った氷眼の民。子供ということで少し舐めていましたが、坊やなら私の目的を達成し得るかもしれません」
「黙れ。今一度問う。貴様の目的はなんだ。回答しだいでは……」
「おお恐い恐い。それではなにも知らないマスターキーの坊やにも分かるように最初から順を追って説明いたしましょう。私の、合獣の民の目的を」
オメガは視線を外して天を仰いだ。
透き通った蒼。
うっとりとした表情に、レインとユリエスは毛が逆立つ思いであった。