王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―

抑揚のない冷徹な言葉。


オメガの眉間に皺が寄り、こめかみの血管が僅かだが浮き出た。


「弱小一族? ふざけるなよクソガキが!」


腰のホルダーに取り付けた短銃を構えると、銃口をレインではなくユリエスに向ける。


エメラルドグリーンの光沢ある銃。


引き金を引くと銃口から一発の弾丸が飛び出し、ユリエスの左膝に命中した。


「ぐあっ!?」


膝は砕け血が溢れる。


膝を抱え崩れ、顔は苦悶の色に染まった。


「貴様らが裏で手を回してドラグノラ軍家との国境防衛線に配属させたんだろうが! 女子供関係なく戦争の前線に出させるとは血も涙もない一族だよお前ら氷眼の民はよ!
それを許した王族も王族だ! どんな手を使って丸めこんだかは知らないが、お前ら一族の浅知恵には感服する思いだ。
どんな手を使った? どうやって国王に付けこんだ?」


紳士的な態度から一変、狂気に満ちた黒い笑みを上げる。
< 169 / 209 >

この作品をシェア

pagetop