王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
傷一つついていない。全て避わしたようだ。
地面を蹴ると、オメガの真下から鋭い氷柱が無数に突き刺す。
レインの奇襲も、オメガの剣が氷柱を根元から断ち切ることから失敗に終わったようだ。
戦いを楽しんでいる瞳。否、オメガからしたらこの命のやり取りもお遊び程度にしか思っていないのだろう。
腹が立つ。
「魔力もコントロールも一級品だ。状況に応じた判断力や応用力も素晴らしい。
この攻撃も良かったよ。一点攻撃からの拡散攻撃、普通の人間ならそれで仕留められたかもしれないけど相手が悪かったね。
読めるんだよ、私には全て。君の青臭い戦力などね」
舌うちすると、右手を天に掲げる。
青空に浮かんだ小さくも鋭利な無数の雹は、隙間なく空を覆い尽くしていた。
「読めるんなら避わしてみろ!」
「ははっ。凄いねぇ、これは流石に避け切れないよ」
手が下ろされる。