王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
「絶対零度・五月雨雹石!」
激しく打ち付ける雹(あめ)を避わせる人間などいやしない。
オメガは目を瞑りその場に立ち尽くす。
諦めたか?
レインの考えはすぐに裏切られた。
オメガの頭上数メートル手前で、降り注ぐ雹は消え去ったのだ。
どいうことだ?
オメガの範囲外に降った雹は、形を保った地面に刺さっている。
絶対零度の雹が蒸発したとは考えにくい。
とすれば防御魔法という可能性しか残らない。
「絶対不可侵領域。私の半径二メートル以内に入ろうとすればその身を滅ぼすことになる。
そう何度も使える術じゃないんだが、特別に披露してあげたんだ。感想を貰えるかな?
ふふ、驚きのあまりで声も出ないか。それもそうか、これだけレベルの差を見せられて平常でいられる方がオカシイというもの。
これで分かっただろう。どう足掻いても無駄。君の攻撃は私には届かない」