王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
怒りで金色の長髪が、少しだけ逆立った。
「こんのクソガキ……。氷眼だがなんだか知らないけど、ちょっとは子どもらしくしなさいよー!」
「落ち着きなさいマルタ。ちょっとシカトされたくらいで怒らないの」
妖精のエナがすかさず鎮める。
吸い込まれそうな黒髪が、風になびいた。
「そうだよ。大人ならサァッと受け流さないと」
二人の前を行くユリエスが、振り向きながら答えた。
まだ幼い三人だが、エナとユリエスの精神年齢は比較的高いようだ。
「そ、そうだよね~。私ももう十七で立派なレディなわけだし、お子ちゃまの反抗期ぐらい軽く受け流さないとね!」
マルタは単純な性格のようだ。
「お子ちゃま」という単語にレインに僅かに反応する。
馬を止めて三人に向き直る。