王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
その衝撃で、氷壁は破壊された。
「サービスだ。もっと面白いものを見せてあげるよ」
オメガは剣を消すと、両手を使い印を結ぶ。
特殊な魔法陣がオメガの足元に展開されると、莫大な量の魔力が魔法陣から放出された。
魔法陣から溢れ出た魔力は、そのままオメガの体内へと染みわたる。
オメガの魔力と魔法陣から吸収した魔力が一つに合わさり力を増していく。
敵のパワーアップを、黙って静観しているわけがない。
レインは氷刀を振りかぶり、先ほどと同じように鞭のようにしならせると刀身を伸ばしてオメガへと狙いを定めた。
心臓へ迷うことなく向かう切っ先。
それでもオメガは魔法陣から一歩も動こうとはしない。
氷刀が心臓を捉えた瞬間、突如薄緑色の風がオメガを中心に吹き荒れた。
風に煽られ氷刀の標準がズレ、オメガの頬を掠めたにすぎなかった。