王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
薄緑色の風がオメガの頭上に集まり形をなす。
その形は女性特有の起伏のある容姿で、まるで精霊のよう。
「精霊術だと? 馬鹿な! 精霊術が扱えるのは……!」
「行け、ウィング」
薄緑色の精霊はオメガに微笑を向けると、周囲の大気を引き連れてレインへと駆け抜ける。
「絶対零度・二重氷壁!」
絶対零度の二重の壁。
精霊の身体は衝突の衝撃で原型を失ったが、すぐに戻りレインの両サイドに風の刃を送る。
相手の攻撃を読んでいたレインはすぐに後方へ下がったため回避することができたが、足元の大地が突如陥没した。
「なっ!?」
足元が崩れたのは、レインの周りの大地が盛り上がったことが原因だった。
取り囲むように土が盛り上がり、レインを土の牢へ封じ込める。