王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―

その上に腰かけている茶色の精霊が、頬笑みを浮かべていた。


「よくやったアース」


魔力を練ると、オメガは新たに次の精霊を呼び出す。


水色の精霊と黄色の精霊。


二人の精霊が手を取り合い、土の牢を周りながら踊りを舞う。


外の様子が分からないレインは、暗闇の中で残り少ない魔力を練っていた。


どこからどのような攻撃がくるか分からない。


すぐに反撃ができる準備をしてはいるが、こちらから攻撃する手段はなかった。


氷眼の民は目標の座標に氷結魔法を打ち込む一族。


裏を返せば、視野の範囲外では基本的に氷結魔法を放つことはできない。


その特性を熟知しているのか、オメガは余裕そうに精霊の踊りを鑑賞し、左頬の掠り傷に左手を当てた。


スライドさせると、傷口は跡形もなく消えた。

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