王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
水色の精霊がステップを踏むたびに、聖水が精霊の身体から溢れ地面に落ちる。
その水たまりを黄色の精霊が踏むと、水面に電流が走り分解された。
二人の踊りに感化されたのか、薄緑色の精霊も彼女の後を追うように宙を舞う。
「アクア、サンダーもういいよ」
主人の命に精霊は頷くと、今度は赤色の精霊が出現した。
「アース」
茶色の精霊が指を鳴らすと、土の牢は崩れ落ちレインの呪縛を解いた。
視野が戻ると真っ先に目に飛び込んだのは色とりどりの五人の精霊。
首を傾げるレインに、オメガは目を細める。
「そろそろ終わりにしようかレイン君。フレイヤ、この少年に死という安らぎを与えてやれ」
赤色の精霊の手のひらに小さな火球が生まれる。
それを投げつけると、レインは反射的に氷壁を軌道上に配置させた。