王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―

やっと反応を示したか、と思う三人に向かってレインはゆっくり口を開いた。


「十七? おばさんだな」


口から出たのは言葉でなく、毒だった。


レインは再び馬を歩かせる。


ポカンとするエナとユリエスだが、ただ一人心中穏やかではない人物が。


「ユリどいて……そいつ殺せない……」


「早速仲間割れ!? やめろって、仮にもドラゴンを一緒に倒す仲間じゃないか!」


「か弱き乙女をおばさん呼ばわりする奴なんて仲間じゃなーい! 一発ぶっ飛ばしてやる!」


「あーダメね。完全にイッちゃってる」


溜息をこぼすエナ。こうなっては本人の気が済むまで決して止まらない。


その間にもマルタは魔力を右手の先に集中させ、攻撃の準備を始めている。


どうやら本気でやるらしい。


< 19 / 209 >

この作品をシェア

pagetop