王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
やっと反応を示したか、と思う三人に向かってレインはゆっくり口を開いた。
「十七? おばさんだな」
口から出たのは言葉でなく、毒だった。
レインは再び馬を歩かせる。
ポカンとするエナとユリエスだが、ただ一人心中穏やかではない人物が。
「ユリどいて……そいつ殺せない……」
「早速仲間割れ!? やめろって、仮にもドラゴンを一緒に倒す仲間じゃないか!」
「か弱き乙女をおばさん呼ばわりする奴なんて仲間じゃなーい! 一発ぶっ飛ばしてやる!」
「あーダメね。完全にイッちゃってる」
溜息をこぼすエナ。こうなっては本人の気が済むまで決して止まらない。
その間にもマルタは魔力を右手の先に集中させ、攻撃の準備を始めている。
どうやら本気でやるらしい。