王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
強気で言い切る。
オメガは表情を崩さずレインを見つめるが、ふいに口角を上げると一笑に付した。
「……は? 雑種だと? 神に等しき私の力を雑種? ふっ、はは! ははははははははははははははははははははっ!
面白いことを言う! 私が雑種? とんだ酔狂だな!
ならば坊やのいう雑種の真の力を見せてやろう! もう加減など出来ぬぞクソガキがぁ!」
細胞が活性化し、人の形を脱ぎ捨てた。
背中には両翼の翼が皮膚を突き破り飛び出し、手足も鋭い獣のそれに変化する。
身体には鱗が生え、顔の形も鼻先が伸び完全に変わる。
身体も巨大化し、漆黒の鱗を纏ったその姿は、先に倒した幻龍と酷使していた。
(瘴気のブレスに当てられ、その身を土に還してやろう!)
耳にではなく脳にダイレクトに響く低い声色。
青年からドラゴンへと変貌した信じられない光景。
それでもレインは冷静で、心を一切乱してはいなかった。