王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
一面氷の世界。
アレグリア平原は氷山地帯に変わり果て、漆黒のドラゴンも氷像の一部と化していた。
氷結範囲はアレグリア平原を優に超え、近くの森林地帯にまで届いていた。
凍りついた木々がその威力を物語る。
息を乱し肩で呼吸をするレインだが、足をしっかりと地につけ氷像のドラゴンに目をやった。
(なぜだ……なぜ私が……)
脳に響くオメガの声。
人間の姿の時は簡単にレインの氷を蒸発させたが、この氷は別格。
レインは冷笑を含み、自分の声が届くのか分からぬ相手に言葉を発した。
「氷眼の民は瞳術を扱う一族だ。視界に障害物があれば威力が落ちるのは当然」
(そのような屁理屈など……)
オメガの声が徐々に弱まる。