王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
それでも少年は無言で歩き続けた。
兵士は拳を握り少年へ殴りかかろうとするが、その場から動きだすことができなかった。
足元を見ると、なんと靴が床と凍りついている。
いつの間に。
少年が魔法を唱えるような仕草は見せなかった。それに全く冷たくない。
兵士は必至で脱ごうとするが、靴の中まで凍りついていて離れる気配など感じられない。
困惑する兵士達を余所に、少年は素通りしてある部屋へ向かう。
重苦しい扉を開けると、そこには広い空間があった。
赤い絨毯に煌びやかなシャンデリア。
壁には絵画がかけられ、美術品が立ち並ぶ。
部屋の奥にはこれまた大きな窓ガラスが嵌めこまれ、一人の人物が窓の外を眺めていた。
頭上の装飾品から垂れる布で顔は隠れているが、逆にそれが目的の人物であるという証拠になる。