王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
ここで仲間割れなどしたらドラゴン討伐どころではない。
必死でユリエスはマルタを止めようと孤高奮闘している中、毒を吐いたレインの隣にセシエルがピタリとついた。
「ダメだろ女の子に『おばさん』なんて言ったら。あの子凄く怒ってるぞ?」
優しく諭すセシエルだが、彼の言葉にもレインは耳を傾けない。
セシエルは困ったように微笑むと、ポケットから小さな包み紙を取り出した。
それを手の平に乗せて、レインに差し出す。
「……なんだそれ」
「飴玉。クセでいつも持ってるんだけどあげる」
子持ちのセシエルならではのクセである。
「いらない」
優しく接するセシエルも一刀両断。
「甘いの苦手?」