王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
王都から旅立った最初の夜を思い出す。
あの時氷の家でレインはなにかを言おうとしていた。
その時から気付いていたのだ。
ユリエスが王族であることを。そして、目的も薄々と……。
「……その通り、俺は王族の血を引く者だ。だが俺はイレギュラーでな、正式に王族としての地位はない」
「なるほど、それで僕の命を狙ったというわけか」
「察しがいいな。今王国には男子の後継者がいない状態だ。王位継承権がない俺がこの国の王になるためには、なにかしらの手柄を得なければならない」
「そのためにドラゴン討伐と僕の抹殺か……。継承権を得るには十分すぎる餌というわけか」
「嗚呼。レイン、君には俺の踏み台になってもらう」
ユリエスの大いなる目的。
王位継承権を得るためのドラゴン討伐とレインの抹殺。