王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―

幼少期から同じ一族に命を狙われ続けたこの里に、思い入れなどなにもない。


だから大長老の提案を受け入れた。自分自身が確実に生き延びるために。


だが外の世界に出てみても、命を狙われる日々。


一族が生み出した黒い膿が、若いレインに降りかかる。


「氷眼の民(ぼく)は人を殺しすぎた。いかなる理由があろうが、人を殺めた事実は変わらない。罪を犯した者には必ず罰が与えられる。僕の場合の罰はオメガとの闘いと、今の状況なのかもしれない」


いつかのベリルの言葉が脳裏をよぎった。


―――気の流れの大きな変化は、世界の変革と同義。無暗に『世界の気の流れ』を変えてはいけないと思うのだ。例えそれが大悪党だとしても―――


「氷眼の民(ぼくたち)はこの国を荒らし過ぎたんだ。己の邪心だけで行動し、多くの一族を滅ぼした。罰は甘んじなければならない。その第一号が僕なんだろうね」


金色の両眼がユリエスを捉える。


諦めたような決意に満ちたような不思議な眼差し。


ユリエスはなにも口にせず、ただただレインの視線を受け止めていた。
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