王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
諭すようにレインは続ける。
「大事なモノを守るためには覚悟が必要だ。二者択一に遭遇したら、自分が守りたい方を選べばいい。それがきっと正しい答えだ」
命を狙われているこの状況に似つかわしい言葉。
レインは全てわかっている。
ユリエスが王位継承権など欲していないこと。本気でレインの命を狙ってなどいないこと。大いなる目的のこと―――
「さよなら、レイン」
大粒の涙が頬を伝う。
少年は屈託のない笑みを向けると、静かにその瞳を閉じた。
「さよなら、ユリ」
王国ファンタジア【氷眼の民】―完―