王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
反王府組織
ベリルは鞘からミスリルの剣を引き抜くと、自分へ向かってくる矢を叩き落した。
彼もまた、悪意に満ちた気を感じ取ったのだ。
一同は矢が放たれた場所へ視線を向ける。
木々に囲まれ見えづらいが、視線の先には弓を手にした人影が存在した。
街道でなければ馬は使えない。
謎の人影を捕縛しようとベリルは馬から降り、セシエルは援護のためクロスボウを両手に構える。
人影は二人の素早い行動に恐れたのか、武器を捨て一目散に森の奥へと駆け出した。
「逃がすか……!」
セシエルがクロスボウの標準を人影に向ける。
が、引き金を引くことはなかった。
セシエルの脇を通る氷の鎖。
氷の鎖は人影に向かって伸びており、鎖の末端はレインが握っている。