王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
一瞬で発動した魔法。
氷眼の民の力を初めて目の当たりにしたセシエルは、驚きのあまり口をあんぐりと開けていた。
気の流れが読めなかった。
流浪の民であるセシエルが気の流れ、魔力の流れを読み取ることができないほどの魔法の瞬時高速発動。
初めてレインと会った時は、招集された戦士とは思えぬ容姿に疑っていたが、その考えは払しょくされた。
彼は紛れもない戦士だと。
レインが鎖を引くと人影を宙に浮き、凄まじい勢いでこちらに飛んでくる。
人影は地面に打ち付けられ、苦悶の表情を浮かべた。
「……女?」
ベリルの目に映ったのは、赤髪の女性の姿。
女性の首には氷の鎖が巻きついていて、苦しそうに両手を首元に当てている。