王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
これ以上有力な情報は出てこないだろう。
反王府組織の者ならばこのまま王都へ送りアジトやボスなどを吐かせることができるが、末端のしかも脅されて仕方なく任務を遂行した工作員では、持っている情報などたかが知れている。
そう判断すると、レインは氷の刃を生成した。
女性の喉元に突き立てて、刃で顔を強制的に上げさせる。
「理由はどうあれ、お前は僕たちの命を狙った。討伐隊の作戦を妨害することは、国王陛下への反逆に等しい。覚悟はできてるだろうな?」
冷酷な言葉が突き刺さる。
「まずは手足を二・三本貰う。許しを請うのはそれからだ」
右手を高らかと掲げ、氷の刃を振り下ろした。
堅い感触が手の平に伝わる。
刃は欠け、氷片が地面に落ちた。
「……なんのつもりだ?」