王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
顔をしかめる。
なにが言いたいのわからない。大人びて見せているが、まだ子どものレインが理解するには難しすぎる内容だ。
「一族に伝わる伝承か? 情けは人のためならず、とでも言いたいのか」
「人の命はそれほど重いということだ。処理などという簡単な言葉で済ませてはいけない」
「お説教なら聞きたくない」
気に入らない。綺麗ごとばかりで現実をわかっていない。
レインは馬に乗る。
が、背が高い馬に一人で乗ることができない。
ベリルの手を借りるという選択肢はあるわけがなく、なんとか自分の力で乗ろうとその場でピョンピョンと跳躍する。
「このっ……んしょっ!」
乗れない。どんなに頑張っても乗れない。
王都から発つ時は小さな椅子が最初から用意されていたから乗ることができたが、とてもじゃないが椅子なしで乗れるほど、レインの身長は大きくない。