王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
マルタ達の様子にレインはほくそ笑んだ。悪い顔だ。
「入れてやってもいいぞ月灯り。但し僕の下僕になることを誓えばな」
「な、なんですってー!? 誰があんたみたいなクソガキの下僕になるもんですか!」
「はぁ? 勘違いするな、馬鹿女などいらん。僕が欲しいのは後ろの男だ。力はないが盾ぐらいにはなるだろうからな」
「嗚呼、こんな男で良かったらどうぞどうぞ」
「あっさり売りやがった!?」
取引成立。ユリエスを売ったエナは、マルタを連れてさっさと氷の家へ入っていく。
「というわけだ。これからは僕に忠誠を誓え、カギ」
せめて名前で呼んでください。
と口に出しそうだったが、寸前で飲み込んだ。
下手に口に出ししたら、ドラゴン討伐前に命を落とすことにも成り得る。
「年下の子供になんでビビってんだ俺……」