王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
ご愁傷さまである。
結局ベリルとセシエルも氷の家で宿を取ることになった。
外装だけでなく内装もこっている氷の家。
椅子もテーブルも全て氷で作られているが、触れても全く冷たくない。
二階には多くの個室が作られていて、中にはそれぞれ氷のベッドも完備。いたせりつくせりである。
セシエルとユリエスは持ち込んだ毛布をベッドへ運び、ベリルとマルタ達は近くで食糧や薪の調達へ。
レインは紺青に変わり行く空を黙って見上げていた。
嫌な予感がする。
レインにはベリルのような気の流れを読むような力も、エナのように邪気を感じることも出来ない。
けれど長年暗殺者に狙われ続けたことにより養われた鋭い感覚が、レインに警鐘を告げていた。
「馬も中に入れておくか」