王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
「ドラゴン討伐の任を受けに参りました」
国王は口元を緩める。
分かり切っているとでも言わんばかりの態度に、レインは眉を潜めた。
気に入らない。血筋という権力を持った野良狸め。
「やはりな。だが先々代国王を暗殺しようと企んだ貴公等一族など信用できぬ。王国に害をもたらす前に立ち去るがいい」
回答はノー。
容赦ない物言いだが、国王の言わんとすることも理解できる。
先々代国王。現在の国王の祖父を暗殺しようとした一族の願いなど、聞きうける義理などない。
氷眼の民。
氷蒼の瞳を持ち、氷結魔法に優れた一族。
彼らの歴史は、王国建国まで遡る。
まだ王国ファンタジアが建国されたばかりの頃だ。