王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
円を描くように配置された陣形はあっという間に崩れ、敵の数も一気に減った。
森は拓け、月灯りがダイレクトに降り注ぐ。
「こりゃすげぇ……」
思わず呟いた言葉。
マルタはふんっと鼻息を荒くして、ドンと胸を張る。
「これが月灯りの民の力だ! 見たか俺様クソガキんちょ!」
「残念だけど、レインは家の中でユリとお留守番してるわよ」
「なにぃ!? クソガキはいいとして、なんでユリまで留守番してんの!?」
「ご主人様の側から離れられないんじゃない? 身売りしちゃったし」
「盛り上がっている所申し訳ないが、お喋りはそろそろ止めた方がいい」
ベリルが会話に入り中断させる。
マルタの攻撃に耐え抜いた追手達が、武器を構えて襲いかかってきたのだ。