王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―

飛び交う弓矢。


ベリルは軽いフットワークと剣捌きで全て交わし、セシエルが飛んできた矢を目印に標準を合わせて弓を放つ。


くぐもった声が届く。セシエルの矢が命中した証。


マルタとエナにも弓が飛ぶが、エナがすかさず聖霊術を唱え魔法の壁を作り出した。


聖霊術は決して強力な魔法ではないが、弓矢を防ぐだけなら十分過ぎる盾を作る。


飛び道具が通じないと分かると、追手は剣を手にして白兵戦とを持ちこんだ。


だがそれはベリルの思うツボ。


敵の太刀筋を完璧に読み切り、僅かな死角から強烈な一撃を打ち込んでいく。


急所に入った攻撃。みねうちだが、意識を飛ばすには十分な威力。


剣術に長けたベリルに一対一での接近戦で勝てるわけがない。


敵も二人三人と複数人で同時に襲いかかるが、元のポテンシャルが違い過ぎる。


ベリルに数など無意味。剣術はそれほど得意ではないセシエルも、短刀を使って次々と敵を打つ。
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