王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
カギに手をかける。
レインは一まとめにされたカギを一瞥すると、二つ目の果物を口にした。
「人間風情にやられるようならそこまでの実力ということだ。まずは人の心配より自分の心配をするんだな。その黒いカギ、今のお前では宝の持ち腐れだ」
「うっ……」
苦笑い。
数ある魔法石のカギの中でも、一際異様を放つ漆黒のカギ。
ユリエスはその黒いカギの力を引き出すことができないでいた。
「究極魔石鍵(マスターキー)世界に十三本しか存在しない、アルベルトゥスの最高傑作。生で見るのは初めてだが、まさかお前みたいな奴がその内の一本を持っていたとはな。残念だ」
暗に込めた皮肉。
まるで僕なら使用できると言わんばかりの物言いに、ユリエスもカチンときた。
が、的を得ているので反論できない。