王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
「お前なんかに所有されて、アルベルトゥスもさぞかし怒り心頭……」
言葉が途切れた。
顎に手を当て物思いにふける。
ユリエスは何事かと首を傾げ、レインの二の句を待った。
結論が出たようだ。
レインはユリエスをジッと見つめる。
独特な雰囲気に身体が凍り、ユリエスは絡められた視線から逃れることができない。
「なぜお前がアルベルトゥスのマスターキーを持っている。それは―――」
爆発音が響く。
氷の壁には大きな穴が開き、武器を持った男達がこちらの様子を伺っている。
ホルダーからカギを一本抜きとり、その先端を敵に向ける。
レインは顔だけ向けて立ち上がろうとはしない。余裕の表情を浮かべていた。