王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
透き通った蒼の女神像。
その空洞部に、謎の男が氷の鎖で全身を拘束されていた。
男の頭上には鋭い氷柱が当てられ、垂れた水滴が男の頭部を濡らしている。
異様な光景に、セシエルは絶句した。
「氷の処女。拘束と拷問を同時に行える素晴らしい氷結魔法だ」
淡々と述べるレイン。
十歳の少年が口にするには色々と問題がある単語の連発に、セシエルはもう笑うしかない。
「鉄の処女(アイアンメイデン)の氷バーションか。私も昔一度だけ使ったことがあるが、それとは方式が多少違うようだな」
「そうか……て、えぇぇぇぇ!?」
ベリルの問題発言に、悲鳴にも似た叫び声を上げる。
二人はセシエルを無視し、拘束した男に意識を置いた。
レインは氷の棒を生成すると、男の頬目がけて激しく打ち付ける。