王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―

自分の命をこんなガキが握っているかと思うと、腸が煮えくりかえる思いだった。


「まあいい。それだけ分かれば十分だ」


「じゃ、じゃあ!」


男は期待の眼差しを向ける。


「嗚呼……」


誰も助けてやるとは言っていない。


レインは男に微笑みかけると、女神の扉を蹴りつけた。


肉が骨が内臓が、意図も簡単に氷の刃の侵入を許す。


男は悲鳴をあげることもなく、氷蒼の女神を真っ赤に染め上げた。


「レイン!」


ベリルが声を荒げる。


話が違うと続けようとすると、レインはある物をベリルに投げ渡した。
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