王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
十歳の少年が背負うには重すぎる。
なんとかしてやりたいと思うベリルだが、こうも邪険に扱われては手の打ちようもない。
心を開いてくれない少年か。はてさて、どうするべきか。
「気にするなよ」
セシエルが心配そうに声をかける。
平気さ、とでも言うようにベリルは片腕を上げた。
「私は私の正義を貫くさ。問題はレインだ。あのままでは時期に心が持たなくなる」
「そうだな。なんとかしてやりたいけど……」
氷の女神に視線が行く。
真っ赤に染った氷の処女。彩りを添えるのは、追手の男。
「ここまでくると、難しそうだな」
セシエルは困ったように、眉尻を下げた。