王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
秘密
「本当にするのか?」
ユリエスはマルタとエナに最終確認。
二人は親指を立て、レインの包帯に手をかけた。
時は遡り三十分前。
ユリエスが目を覚ますと、マルタとエナがなにやらコソコソと話をしていた。
ユリエスの様子を見に来た二人だが、会話が弾んで彼を放置しているようだ。
ゆっくりと身体を起こす。
敵の爆発魔法の余波に巻き込まれ全身を打ち付けたせいか、あちこちズキズキと身体が痛む。
「お! 目ぇ覚めた?」
ユリエスに気付いたマルタ。
ユリエスは「うん」とだけ答え、特に痛みが激しい後頭部を押さえた。