王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―

「ところでなにを話してたんだ?」


「嗚呼、レインの包帯のことについて話してたのよ」


エナが答える。


ユリエスはなにを言っているのか理解できなかったが、すぐに思い出したのかハッとした。


レインの両目に巻かれている包帯のことだ。


「包帯って……あれはただの包帯だろ?」


「ただの包帯を両目に巻く人がいると思う? あれにはきっと秘密があるってマルタが言うのよ」


「あれは絶対なんかあるよ! あのクソガキの隠された秘密を暴いてやろうじゃないか!」


拳を天に掲げてやけに意気込む。


レインにおばさんとか馬鹿とか言われたことを根に持っているらしい。


どちらか子供か分からない。


「普通に怪我してるだけなんじゃねーの? マルタはどんな秘密があると思うんだ?」
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