王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
横向きに寝ているおかげで、解くのはそう難しくはない。
「やっぱ止そうぜ。バレたら絶対殺されるって」
小声で止めに入るユリエスだが、スイッチが入った二人はもう止まらない。
シュルシュルと包帯を取ると、瞼が閉ざされた瞳が現れた。
……特に変化は起こらない。
魔物が出てくる気配もなければ、必殺技が発動する気配もない。
ただ日中では鬼のような言動をする少年の年相応な可愛らいし寝顔があるだけだ。
「こうして見ると、本当にまだ子供なんだよなあ」
「そうよね。肌なんて凄いプニプニ」
頬を突くエナ。弾力ある肌質がたまらない。
「マルタのそれとは雲泥の差ね」
「おい待てそこの女。さらりと聞き捨てならねえこと言いやがったな」