王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
「さっさと証拠を隠滅して帰りましょ。バレたら本当に殺されかねないし」
ささっと包帯を元に戻し、ギャーギャー喚くマルタの口を押えながら、三人はレインの寝室を後にするのだった―――
「おい。お前達」
翌朝。
二階から降りてきたレインが開口一番に開いた言葉に、マルタ達は過剰に反応した。
「な、なに~?」
マルタが笑顔で誤魔化そうとするが、レインの(目は見えないが)鬼のような形相に、笑顔は簡単に崩れてしまった。
「僕の包帯になにかしただろ」
「包帯って……私はさっぱり分かりませ~ん」
「嘘をつくな。起きたら結び目が逆さになっていた。扉の鍵が壊れていた。こんな馬鹿なことをするのは、馬鹿女のお前ぐらいしかいない」