王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
表の歴史
「全く、本当にお前は無能だな」
ユリエスに容赦ない毒を吐くレイン。
いつになく苛立つレインに、ユリエスは本日何度目かの溜息をついた。
突如現れた魔物の群れ。
どうやら魔物達の縄張りに入り込んでしまったらしく、そこを根城にしている魔物達がいきなり襲いかかってきたのだ。
魔物とはいえ、低レベルの者ばかり。レイン達の敵ではない。
しかし数が多すぎた。
魔物と戦っているうちにレインとユリエスは、ベリル達と逸れてしまったのだ。
レインは天を仰ぐ。
そろそろ日が落ちる。
まだ魔物のテリトリー内にいるかもしれないこの状況で、動き回るのは危険行為。
昨日のように氷の家を作ろうとレインは考えたが、昨日の反王府組織の奇襲が脳裏を過ぎる。