王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
森のド真ん中であんなに目立つ物を作っては、見つけてくれと言っているようなものだ。
どこか隠れられる所を探さなければ。
空を見上げながら、レインは魔力を少し練る。
すると、大空に続く氷の階段が出現した。
唖然とするユリエスを知ってか知らずか、レインは表情を変えずに氷の階段に足を伸ばす。
足を乗せた瞬間、ピキッと軋み小さなヒビが入った。
先の戦闘で魔力を使い過ぎたせいか、耐久性に難があるようだ。
一歩一歩注意しながら階段を昇る。
頂きに着く。下界には密集した木々が広がり、辺りを緑色に染めていた。
辺りを見渡し今夜の寝床を探す。
すると、南の方向に洞窟があるのを発見した。
ここからさほど距離はない。歩いて二・三十分というところか。