王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
一先ずあそこを根城にしよう。
階段を下り切ると、氷のそれは綺麗に消えた。
「ここから南に洞窟がある。着いてこい」
「了解です。隊長殿」
主導権はレインが握っているようだ。
歩き続けること数十分。レインの言うとおり森の切れ目から洞窟が現れた。
日も落ち始め周囲は薄暗い。
戦闘と歩き回った疲れからか、ユリエスは一目散に洞窟に入ろうとするが、レインに服の袖を掴まれ止められた。
「なんだよ。さっさと入って休もうぜ」
「お前の脳はカラッポか? こういう洞窟には瘴気が溜まりやすい。入った瞬間身体が腐るぞ」
「うげぇ……じゃあ、折角見つけたのに入れねーじゃん」
「だからお前は無能なのだ。黙っていろ」