王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―

二人っきりだというのに不安じゃないのかこいつは。


変わらぬ態度を取り続けるレインに、ユリエスは怒りを通り越して関心すらしていた。


こんなちっこい身体のどこに、これほどまでの力があるのだろうか。


正直羨ましいよ。


自重気味に頭を掻いて、ユリエスはレインの動向を見守る。


レインは洞窟の入り口に立つと、右手を前に突きだし魔力を腕先に集中させる。


身体には冷気を纏い、レインを中心に冷風が漂う。


「いけ」


右手から突風が吹きだす。


空気の塊が解き放たれ、洞窟内に侵入。


レインが放った突風により、洞窟内の空気が循環され瘴気が薄くなった。


レインは両手を膝につき、大きく息を吐く。
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