王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
肩で息をしながら、額に流れる汗を拭った。
「すげー! お前風も操れるんだな!」
「馬鹿。あれは魔力の塊を放出しただけだ。魔術を極めた者なら……誰にだって……」
足取りが覚束ない。
ゆっくりと意識を手放すと、レインの身体は重力に従った。
「あっ!」
倒れる前に、ユリエスがレインの身体を抱きかかえた。
「お、おい。大丈夫か?」
頬を軽く叩くが返事がない。
無理もない。あれだけ魔力を消費したのだ。幼い身体には負荷が多すぎたのだ。
「たく。黙ってても迷惑なガキだぜ」