王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
そしてこれらを作り上げたのは全て、かつて国王の側近として活躍していた氷眼の民によるもの。
その他にも、彼らが成し遂げた偉業は数知れない。
「この国は全て王族の力で成り立っていると思ったら大間違いです陛下。国を作ったのが王族ならば、国を育て上げたのは我々氷眼の民。
汚れ仕事は部下に押し付け、貴方様はただ椅子に座って国のため民のためなどと中身のない空疎な言葉を吐くというのがこの国のシステム。
害をなしているのはどちらでしょうな国王陛下。僕には陛下の方が害をなす―――」
言葉の続きは、六人の兵士によって遮られた。
一瞬にして間合いを詰めた兵士達。
彼らはレインを取り囲み、矛先を喉元に付きたてている。
手を出すなと指示されていたが、主を侮辱され我慢の限界を越えたようだ。
無言の兵士。甲冑で表情は読み取れないが、殺意が混じった視線を感じた。
「陛下の護衛を務めているだけのことはあるな。ザコだと思ったらなかなか……」
生命の危機だというのにレインは至って冷静だ。
微かに笑みも溢しているが、すぐに唇を一文字に結び直す。