王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
真っ先に飛び込んできたのは、薪が燃えたぎる様だった。
額にはひんやりとしたタオルが当てられ、どこから取ってきたのかレインの身体を覆い尽くすほどの大きな葉が背中に敷かれている。
上半身を起こすと、焼き魚に噛り付いていたユリエスと視線が合った。
「気づいたか」
「……僕は一体?」
「魔力の使い過ぎでぶっ倒れたのさ。無茶しすぎだっての」
ほれ、と焚火で焼かれたもう一匹の魚を手渡された。
無意識のうちにそれを租借する。
塩味が効いた絶妙な味だった。
「うまいか?」
「……普通」
なんだそりゃと呟いて、ユリエスは食べ終えた魚の骨を放り投げた。