王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
小首を傾げるユリエスに、レインはたった一言投げかけた。
「高圧……え?」
「氷の圧力を変えると相変化を起こし、自在に氷の温度を変えることができるんだ。論理的には、何千度という高熱の氷を作り出すこともできる」
「へぇ~。じゃあ、あの氷の家の中が全然冷たくなったのもその高圧なんとかって奴のおかげか!」
「まあな」
氷の温度の変化。
常識では考えられないような現象が、この少年は意図も簡単にやり遂げている。
こいつには驚かされてばっかりだ。
いつになく長舌なレインに気を良くしたユリエスは、さらに深いところまで差し迫る。
「氷眼の民といえば、身分制度の廃止に尽力した民でもあるんだよな。反逆の民とか言われてるけど、一部の人達からは未だに絶大な人気があるんだぜ」
王都建国時のファンタジでは、王族を頂点とした身分制度が色濃くでていた。