王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
それになにより、自分の弱点をユリエスに知られたくなどなかった。
「一先ず逸れた地点まで戻ってみるか。もしかしたらベリルさん達がいるかもしれないし」
「勝手にしろ」
二人は元来た道を引き返す。
願わくば何も起ってほしくはないが、そうはいかないのが世の理。
レインは足を止め、耳をすませた。
ユリエスが不思議そうに声をかけるが無視し、全神経を聴覚に集中させる。
ドドド……という地響きが微かに聞こえる。
それは次第に大きくなり、音の正体が視野に飛び込んできた。
「なんだあれ!?」
巨大な岩。
否、岩のような生物。