王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
刹那、レインはユリエスの手を引いた。
いきなり引っ張られたためバランスを崩し転びそうになる。
「ちょちょちょ、なにすんだよ馬鹿!」
「馬鹿はお前だ! さっさと逃げるぞ!」
「逃げるって、あいつはもうお前が倒して……」
岩竜に目をやる。
視界に氷晶が入った瞬間、ユリエスは言葉を失った。
氷晶にヒビが入っている。
そのヒビは徐々に広がり、パリンという音とともに氷晶が砕け散り、岩竜が先ほどと変わらぬ勢いを保ちながら転がってきた。
馬鹿な。レインの氷を喰らって生きてるなんて!?
岩竜がすぐ脇を通り過ぎる。
レインが咄嗟に手を引いてくれたお陰で、岩竜の一撃を間一髪でかわすことが出来た。