王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
「だが、そういう危ないものは」
レインの周りに冷気が漂う。
右手を肩の辺りまで上げると、パチンと指を鳴らした。
刹那―――
六人の兵士は氷晶に閉じ込められた。
「僕に向けないでくれるかな」
凍りついた槍を手で払うと、呆気なく崩れ落ちた。
レインの周りには六つの氷晶がぐるりと立ち並び、澄んだ蒼から兵士の姿が確認できる。
目の前で起こった出来事に、国王は息を飲んだ。
氷眼の民の力は、先代国王から聞いていた。
だが耳にしたのと目で見るのとは全く違う。
王宮の護衛にあたる兵士の中でも選りすぐりの六名が、一瞬にして氷漬けにされたのだ。目を疑いたくもなる。